日本ナレッジ・マネジメント学会アート部会
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第20回KMSJアート部会報告書
【日時】平成23年11月19日(土)18時〜20時30分
【場所】清水谷公園 茶室「偕香苑」(東京メトロ永田町駅徒歩5分)
【学会関係出席】6名(眼龍、小野瀬、堀田、藤掛、松尾、黒川)
【研究テーマ】「茶の湯実技入門〜茶道の国際展開について」
【講師】松浦 宗光 師匠
(紀尾井町茶道倶楽部「洗心会」主宰・国際野点協会(INA)代表・裏千家準教授)
【配布資料】
「KMSJアート部会第3回研究会平成20年11月6日まとめ」(小野瀬)
「茶の湯入門〜茶道の国際展開について」(松浦)
【発表&実技概要】
1. KMSJアート部会のねらい(小野瀬)
KMSJにおけるアート研究のねらいは、日本の伝統芸道・武道の歴史、革新法、伝承法 などから現在の企業経営に活かせるKM戦略を見出すことである。日本の伝統芸道・武 道の知については、海外の知識人が混迷する世界経済下の新しい企業経営のあり方と して注目しており、今後も日本の伝統芸道・武道の知を掘り下げると同時に海外の伝 統文化等との比較研究を深めていきたい。
 
2. 茶の湯の知と国際展開について(松浦)
1) 茶の湯の歴史
・日本に茶の湯をもたらしたのは、平安時代に遣唐使として唐に留学した僧侶たちで ある。鎌倉時代には、栄西が臨済宗と共に抹茶法をもたらした。
・室町中期には、茶会は武家の会所の書院で行われるようになり、足利義満・義政の 同朋衆の能阿弥が書院茶の作法を完成した。
・能阿弥に書院茶を学んだ村田珠光は、庶民の地味な「地下茶の湯」と大徳寺の一休 宗純から学んだ「禅の精神」を加味した精神性と芸術性をもつ茶道をつくった。
・安土桃山時代、武野紹鴎(むらのじょうおう)が唐物の茶器の代わりに日常雑器を 茶の湯に取入れ、道の精神を持つ「わび茶」を完成させた。さらに、武野紹鴎の弟子 の千利休は「茶道」を完成した。利休の死後、茶道は利休の孫の三代元伯宗旦(げん ぱくそうたん)の次男の一翁宗守(いちおうそうしゅ)が武者小路千家、三男江岑宗 左(こうしんこうさ)が裏千家、四男の仙叟宗室(せんそうそうしつ)が表千家の三 千家となって伝承している。

2) 茶の湯の目的と心
・茶の湯は根底に禅宗の思想があり、様式美と不完全さの美学を確立た世界に類を見 ない総合芸術だが、その目的は人と仲良くなることである。
・茶の湯の心は、和(仲良くする)・敬(お互いを敬う)・清(こころの清らか さ)・寂(どんなときも動じない)の「四規(しき)」である。
3) 茶の湯の極意

・茶の湯の極意は、
a)茶は服のよきように点て(相手を思いやる亭主の心)
b)炭は湯の沸くように置き(全ての段取りは、要の前段やツボを押さえる) c)花は野にあるように(表現は本質を知り、簡素にする)
d)夏は涼しく冬暖かに(もてなしは相手を思う心)
e)時刻は早めに(ゆとりは自らの心がけで造りだす)
f)降らずとの傘の用意(備えは万人の憂いを想定する)
g)相客に心せよ(共生する全てのものへの気遣い・思いやりの心)
の「利休七則」である。

4) 茶道の教え
・茶道は、禅宗の「悟り」を日常の行為に見出す哲学である。
・茶道の哲学は、禅宗の「悟り」である七仏通誡の偈「諸悪莫作(しょあくまく さ):ありとあらゆる悪を作さず」「衆善奉公(しゅうぜんほうこう):ありとあら ゆる善こと」「自浄其意(じじょうごい):身をもって己の心を清めん」「是諸仏教 (ぜしょうぶっきょう):これ諸仏のみ教え」である。

5) 茶の湯の指針
・茶の湯の指針は「利休道歌(りきゅうどうか)」にある。
・「その道に入らむと思う心こそ我身ながらの師匠なりけれ」「ならひつつ見てこそ 習へ習はずによしあしいうは愚なりけり」「はぢをすて人に物とひ習うべし是ぞ上手 の基なりける」「茶はさびて心あつくてもてなせよ道具はいつも有合にせよ」「水と 湯と茶巾茶筅に箸楊枝柄杓と心あたらしきよし」など。

6)「今日庵」の国際交流
・「今日庵」における茶の湯の海外交流は、平成19年4月5日タイ王女一行来庵からは じまり、平成23年11月13日ナスル第66回国連総会議長夫妻来庵まで32回に及んでい る。
・松浦宗光による個人的国際茶道普及活動は、平成18年3月第4回メキシコ世界水 フォーラム展示場での呈茶会(6日間、900名)、平成20年10月英国セントジョンズ大 学の茶道紹介茶会(ヨーク市長夫妻、裁判所長官夫妻、ヨーク大学学長ら50名)、平 成20年12月から明治神宮茶室「隔雲亭」における外国人観光客のための体験茶会(各 回50名程度)をNPO響と共同開催を継続中。

6) 赤坂茶道倶楽部「洗心会」について
・松浦宗光が主宰する赤坂茶道倶楽部「洗心会」の興味のある方は、電話
090-1540-6771、Mail:pp421216.h@dokomo.ne.jpま でお問合せ下さい。

3. 懐石料理と茶の湯のもてなしの実技(松浦)
1) 懐石料理のもてなし
・茶の湯は「二幕」仕立てのドラマである。初座では炭をおこしして懐石料理を頂い た。
・懐石料理とは、修行中の禅僧が寒さをしのぐ目的で温石を懐中に入れたことから、 客人をもてなしたいが食べるものがなく、せめてもの空腹しのぎにと温めた石を渡 し、客の懐に入れてもらったという説あり。

写真1.偕香苑(05)

 写真2.茶室鑑賞(10)

写真3.懐石料理配膳(11)

 写真4.懐石料理(12)

2) 薄茶のもてなし
・後座では濃茶を頂いて、炭を直して薄茶を頂いた。

写真5.薄茶点前(15)

写真6.薄茶を頂く(16) 

(文責:小野瀬由一)



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