"paddle"
電子音の織り成す枯山水。塚越寛之によるソロプロジェクトFiroの青く透き通る音楽。電子音の織り成す枯山水。
様々な空間でのライヴで緻密な音の空間を立ち上げたFiroの音源を一枚に収録。TBS系「世界遺産」BGMともなった『SwNH』、PsysExによるリミックス『stereotape(#505_ii) 』に加え、2006年9月、糸魚健一(PsysEx)によるリマスター盤としてセルフリミックス『C419(Dragon ascending)』をボーナストラックに加えて再登場。
*オリジナル盤"paddle"(DES016)は2006年9月20日を以て廃盤となりました
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法然院で写経用の机にPowerbookG4を置いて塚越寛之が操る庭に溶けて行くような音の粒たち。枯山水の庭が水を使わないことによって具体的な自然素材以上に空間のもつ表現力を引き出したものならば、日本人にとってテクノとはまさしく枯山水のようなものなのだなという、至極シンプルな事を気付かせてくれたFiroの音源をたった一枚に選び抜いた逸品です。気付けば音楽が流れている不思議な感覚。透明な音楽と呼ぶに相応しい、自信をもってお勧めす出来る逸品です。
星さん、いつもサンプルありがとう。僕のお気に入りは2、5、8曲目です。 皆さんも是非聴いてみて下さいネ、このアルバム。Filoさん、いい感じですヨ!
春頃に焼いてもらったオムニバスの CD-R の中に一曲だけ Firo が入ってました。最初、曲名もアーチスト名も知らなかったんですが、ずっと気になってました。自分が曲を作るときって、とかく too much になっちゃって、いかに音を減らして「間」を作るかっていうところで頭を悩ませるんですが、このアルバムの曲は、どれもその「間」が素敵です。ほら、言わないからこそ伝わることってあるじゃないです か。それでいて、優しさがキチンと感じられる、そんな音です。
音エレメンツの生成〜チョイス、捉えられないクロックを持ったシーケンス、王道を行くエレクトロニカ。アンビエンスの広がり、波形エディットの技術的高知識といい、主張された曲構成をミニマルにまとめあげるアーティストとしてのセンスといい、根付いたシーンに申し子的に登場した天才的新人。実験的姿勢でありながら全く痛くない生理的に気持ちのいいと反応させられてしまう2003年度レコードジャンキー協会ベスト盤。
そもそも「Firo」ってどういう意味なんだ?なんて野暮な事を考えながら、サンプル 盤をプレイしてみる――ここにあるのは、美しいハーモニーが内在する和的サイレンス。まるで"風鈴"や"鹿おどし"のごとし。透明で無香料な上質アンビエント――「ふぃろ」さん。なるほど意味がわかった気がします。そしてクールに高揚して。
耳に馴染む泡沫の旋律。無色透明のぼやけた音の波に実体化する「間」が心地好いFiroの世界。